今さら聞けない「DHCPの基本」 連載2回目 [後編]

DHCP専用アプライアンスは
企業のビジネス拡大に必須

企業が従来使用してきたDHCPサーバーで課題となっていたのは「パフォーマンス」「信頼性」「コスト」だ。ソリトンシステムズが提供するDHCP専用アプライアンス「NetAttest D3」はこの三つの課題を解決できるのだろうか。連載第2回目後編となる本記事ではこの三つのポイントを踏まえて、NetAttest D3の人気の理由を解説する。

1,000台のデバイスにわずか1秒でIPを払い出す「パフォーマンス」

 NetAttest D3のパフォーマンス面で特筆すべきは、IPアドレスの払い出しが「超高速」である点だ。エントリーモデルで1秒間に約1,350リースと紹介したが、これは社内にある1,000台のデバイスが同時にネットワークに参加しても、そのすべてにIPアドレスが付与されるまで1秒間もかからないということになる。

 しかし、一般的な企業にとって1,000台というデバイス数は現実的なのだろうか。答えはイエスだ。現在はマルチデバイス利用が当たり前になっており、スマートフォンやタブレット、ノートPC、デスクトップPC、IPフォンなどを組み合わせた新しいワークスタイルをスタートしようとした場合、従業員が数100名の企業であっても1,000台に到達する可能性は十分にある。将来、IoTを自社で活用するようになれば、これらの同時接続のデバイス数はさらに増加することが見込まれる。数年先に必要となるDHCPのパフォーマンスは予測困難だが、NetAttest D3であれば増加するデバイス数にも対応できるというポイントが、ユーザー企業に支持され続ける要因といえる。

 なおNetAttest D3のラインアップには、エントリーモデルに加えて、大規模向けモデルも用意されている。大規模向けモデルでは払い出し速度は1秒間に2,800リースと「2倍速」、最大割り当てアドレス数は2,500から2万5,000と「10倍」となっており、エントリーモデルでは対応しきれない数のクライアント端末を所持するユーザー企業に最適だ。

同じIPアドレスで業務を継続できる「可用性」

 次に可用性だ。冗長化に対応し、万が一障害が発生した場合でもネットワークに影響を与えることなくビジネスを継続できる点が大きな特長といえる。Windows Serverを利用した一般的なDHCPサーバーの冗長化は「DHCP-Failover」(DHCPサーバーの2重化)で構成されることが多いが、DHCP-Failoverは用意したIPアドレスレンジを分割して別々に管理し、払い出す方式だ。そのため、利用できないIPアドレスが発生したり、IPフォンでは無線LANローミング時に異なるIPが付与されてしまい、通話が途切れたりといった弊害があるのが難点となっていた。

 それに対しNetAttest D3は障害に備えていくつかの系統を待機状態にしておく「Active-Standby構成」を採用している。これによって、機器間で払い出したIPアドレスが同期されているのだ。また万が一トラブルが発生した場合は、最新状態を引き継いで自動的に切り替わるため、障害が発生した際にデバイスに異なるIPアドレスが付与されるといった弊害がない。業務に一切の影響を与えることなく運用を継続できる、真の可用性を実現した製品なのだ。

万一の障害時もネットワークには影響しない冗長化を実現

 また、分散配置構成にも対応しており、全国の複数拠点の支社に設置した場合でも効率的な運用ができるようになっている。

従来製品の3分の1の価格で導入可能な「コストパフォーマンス」

 最後にコストだ。本製品は前編でも述べた通り、企業が求めるDHCPサーバー関連機能に特化することで、高い性能と信頼性を維持したまま、導入しやすい価格帯での提供が可能になっており、サービスプロバイダー向けの製品と比較して、3分の1の価格で導入できることが大きなメリットだ。

 従来のDHCP専用アプライアンスは、SOHO環境向けの製品か、サービスプロバイダーを対象にした大規模環境向けの製品かに二極化する傾向があった。ワークスタイル変革やIoTといった取り組みで数百台規模のデバイスを取り扱うケースでは、こうした小規模向けや大規模向けのDHCP専用アプライアンスは「帯に短し襷に長し」という状態だったのだ。

 しかし、NetAttest D3のエントリーモデルは45万円、大規模向けモデルは198万円で提供されている。そのためネットワーク機器やWindows ServerのDHCPサーバー機能が性能限界になった際、「ちょうどよい」製品として注目を集めているのだ。

ビジネス拡大を支えるためのDHCP専用アプライアンス

 「無線LANがつながらない」「速度が遅い」「通信が頻繁に切れる」といった無線LANのトラブルは、DHCPが原因となっているケースが増えている。また、働き方変革やIoTなどの取り組みでも無線LANは重要視されており、DHCPの必要性に改めて注目が集まっている。

 安定したネットワーク運用を行い、ビジネスを首尾よく進めるためには、ルーターやWindows ServerのDHCPサーバー機能に頼るのではなく、専用アプライアンスへの移行が望ましい。その際に、高い性能を有し、安定した運用ができるNetAttest D3は有力な選択肢となるはずだ。


DHCP/DNS専用アプライアンス「NetAttest D3」


本当に“止まらない”ネットワークのために、

DHCP/DNSサーバーに信頼性とセキュリティ機能を。

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