
Cisco 担当者コラム
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Collaboration 第153回 「Webex Calling 機能紹介 その1 ~ ハントグループ ~」
こんにちは。ダイワボウ情報システム株式会社で、シスココラボレーション製品を担当しているエンジニアの斎藤です。
今回から、Webex Calling で利用できる機能をいくつかご紹介させていただきます。初回となる今回は、外線着信の基本となる「ハントグループ」についてご紹介いたします。
■Webex Calling における外線着信のパターンは?
WebexCalling において、外線番号を割り当てる先にはいくつかのパターンがあります。
ユーザー個人に割り当てる
「ハントグループ」に割り当てる
「コールキュー」に割り当てる
「仮想回線」に割り当てる
「自動音声応答」に割り当てる
この中でも、部署の代表番号として外線番号を割り当てる場合、一般的に選ばれるのが 2 の「ハントグループ」です。
■Webex Calling における「ハントグループ」とは?
ハントグループは、1つの番号に着信があった際に、事前に設定された複数の内線に対して順番または同時に着信させる機能です。コールセンターまではいかないまでも、チームや部署での着信対応を効率化したいときによく使われます。他のPBXでは、「着信グループ」や「グループ着信」と呼ばれる機能になります。

ハントグループの主な用途は以下の通りです:
・会社や部署の代表番号着信の振り分け
・担当者が不在でも他のメンバーが電話に出られるようにする
・一定時間応答がない場合は、次のメンバーに転送する
WebexCalling においては、ハントグループに代表番号を割り当てることで、部署内の複数メンバーに対して同時に着信させることが可能です。
着信ルーティング(呼び出しパターン)は、以下の5種類から選択できます:
・ローテーション(Circular:最大1000エージェントまで):最後のメンバーがコールに応答した後で、すべてのメンバーを循環します。次に利用可能なハントグループのメンバーをコールします。
・トップダウン(Top Down:最大1000エージェントまで):⇒ハントグループのメンバーを通じて順番にコールを送信します。毎回トップから始めます。
・最長アイドル(Longest Idle:最大1000エージェントまで):最長アイドル状態のメンバーにコールを送信します。応答しない場合、アイドル時間が 2 番目に長い次のメンバーに進み、コールが応答されるまで続行します。
・重み付け(Weighted:最大100エージェントまで):ハント グループの各メンバーに割り当てるパーセンテージ (最大 100%) に基づいて、アイドル メンバーにコールを送信します。
・同時(Simultaneous:最大50エージェントまで):ハント グループのすべてのメンバーに同時に通話を送信します。 ←おすすめ
このように多様なルーティング方式により、お客様の運用に合わせて最適な着信設計することができます。
なお、日本国内での運用では「同時(Simultaneous)」に設定されるケースが一般的です。

さらに、応答がなかった場合のルーティングオプションも豊富に用意されています。これらを組み合わせることで、より柔軟で確実な着信対応が実現できます。

また、Webex Calling のハントグループでは、設定を有効にすることで、ハントグループに割り当てられた番号をエージェントが発信時にも使用できるようになります。これにより、例えば、営業部と技術部の両方のハントグループに所属している担当者が、発信時に用途に応じて番号を切り替えるといった運用も可能です。部門ごとに発信元を使い分けることで、お客様にもわかりやすく、より信頼感のある対応が実現できます。
WebexCalling のハントグループにおけるデメリットとして、ユーザー間で「誰が応答したか」を確認できない点が挙げられます。
これは電話システム全般に共通する仕様ですが、グループ着信の場合、着信履歴に残るのは応答したユーザーのみとなるため、Webex Calling でも同様の動作となります。
一方で、誰も応答しなかった場合には、グループメンバー全員に不在着信として履歴が残ります。
そのため、折り返し対応が必要な業務においては、「誰が対応したのか」「誰かがすでに折り返したのか」といった情報を共有する必要があり、Webex のチャット機能(無料)などを活用した連携する等、運用面での工夫が必要になります。
また、同時着信ルーティングの場合、登録可能な内線番号は最大50件までとなっています。
部署の代表番号に対して、50名以上のメンバーで対応する必要がある場合は、鳴動対象のメンバーを選定するか、別の着信ルーティング方式(最大1,000エージェントまで対応可能)への変更を検討が必要になります。
■まとめ
WebexCalling のハントグループ機能を活用することで、部署単位での効率的な着信対応や、発信時の番号統一による信頼性の高いコミュニケーションが実現できます。
一方で、「誰が応答したか分からない」「同時着信の制限」など、運用上の注意点も存在しますが、こうした点は、チャット連携による情報共有や、着信ルーティングの工夫・設計によって十分にカバー可能です。
ハントグループの仕組みを理解し、自社の業務に合わせて構成することで、よりスムーズで確実な電話対応を実現できます。
WebexCalling の設定については、ヘルプセンターの記事がございますので、こちらをご参照ください:
●よくある質問
・留守番電話に転送できますか?
⇒はい、一定時間応答がなければボイスメールに転送可能です。
・モバイルアプリでも応答できますか?
⇒はい、Webexアプリがインストールされた端末であれば、モバイルやPCでも着信可能です。
・勤務時間外はどうなりますか?
⇒転送スケジュールを設定することで、非営業時間中は留守電や自動アナウンス、別番号転送が可能です。
今回は以上となります。最後までご覧いただきありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。
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