Microsoft Loop とは?Loop の機能と用途

Loop とは?

Microsoft Loop は、共有のワークスペースとして利用できる、コラボレーションを重視したキャンバスアプリ(大きな白紙のようにさまざまな要素を自由に配置して編集・表示できるアプリ)です。さまざまな種類のパーツ(コンポーネント)を使用して共同作業を効率化します。

Loop は複数ユーザーがリアルタイムで情報を共有し、編集やタスク管理を行うことができるため、プロジェクトやチーム作業での共同作業に最適です。Loop の強みは、同期速度が非常に速く、大人数による同時更新にも迅速に対応できる点です。これにより、プロジェクトの進捗状況を常に最新の状態で把握することが可能になります。

Loop については以下の記事でも簡単な解説をしています。本記事と併せてご参照ください。

OneNote との違い

Loop の利用を始めると、Microsoft OneNote と似ている部分があることに気付くでしょう。しかし Loop と OneNote はいくつかの異なる点があります。以下に Microsoft OneNote と Microsoft Loop の違いをまとめています。
2つのアプリを比較すると、特性の違いやそれぞれのアプリがどのように作業をより効率的にするか分かります。各アプリの独自の特長と利用シーンを理解し、ニーズに最適な選択をしてください。

  OneNote Loop
特徴 紙のノートブックのように記録し、情報を集積することを重視したキャンバスアプリです。共同編集・共同作業も可能です。 複数のユーザーが同時共同編集・同時共同作業を行って、共同して作成した情報を共有することを重視したキャンバスアプリです。
利用できる場所 OneNote アプリ(Web/デスクトップ/モバイル)で作成・編集・閲覧 Microsoft 365 アプリ内で Loop コンポーネントの作成・編集・閲覧
Loop アプリ(Web/デスクトップ/モバイル)で作成・編集・閲覧
想定用途 授業や会議の記録、自分で利用するメモ、さまざまな情報の(リンクを含む)まとめ プロジェクトやチーム作業での共同作業用のワークスペース(情報共有、タスク管理、課題管理、アイデア出しなど)として、複数のユーザーが同時に編集・更新するような作業

OneNote は「記録して貯めていく」性格なのに対して、Loop は「共同作業でコンテンツを作っていく」性格です。

Loop には組織アカウント用と個人アカウント用がありますが、この記事では組織アカウント用の Loop について解説しています。
個人アカウント用の Loop では、Loop アプリ以外でのコンポーネントの利用はまだサポートされていません。また Copilot Pro ライセンスの有無にかかわらず Loop アプリの Copilot も利用できません。

Loop の使い方

Loop は「Loop アプリ」を使うほか、Loop コンポーネントを他の Microsoft 365 アプリに埋め込んで利用することができます。それぞれの使い方を簡単に説明します。

Loop アプリを使う

Loop アプリは、「Loop コンポーネント」「Loop ページ」「Loop ワークスペース」の3つの要素から成り立つアプリです。Windows 用・モバイル(Android 用・iOS 用)のアプリが用意されている他、Web アプリも利用できます。

Loop コンポーネント

Loop コンポーネントは編集・共有可能なパーツ(部品)です。Loop ページのキャンバス内に配置したり、他のアプリに埋め込んだりできます。

Loop アプリでは、Loop ページに以下のような書式付きの情報(文字)を入力できます。

段落・見出し・箇条書き・チェックリストの書式の例

また単純な書式以外にタスクリストやかんばんボード、投票テーブルのようなテンプレートも用意されています。

タスクリストと投票テーブルのテンプレートの例

このようにさまざまな情報を入力できますが、Loop ではさらにこれらの書式付き文章やテンプレートから情報共有と共同作業のための「部品」となる「コンポーネント」を作成できます。
Loop ページに入力された情報(文字)は Loop アプリ内でのみ利用(閲覧・編集)できますが、コンポーネントを作成することで他の Microsoft 365 アプリに挿入して利用することが可能になり、共同編集・共同作業の幅が広がります。

書式付きの情報からコンポーネントを作成するには、以下の操作を行います。

  1. コンポーネントにしたい書式付き情報をマウスでポイントします。下の例ではタスクリストをポイントしています。
    ポイントすると、左側にが表示されますので、右クリックします。
  2. 右クリックするとメニューが表示されますので、[Loop コンポーネントの作成] を選択します。
  3. タスクリストを元にした Loop コンポーネントが作成されます。

Loop アプリでは情報の取りまとめや共有のため、以下のようなさまざまな種類の書式やテンプレートと、それに対応するコンポーネントが用意されています。

・段落(文章を入力する場所)
・見出し(大中小3レベル)
・引用文
・箇条書き(番号付き、番号無し)
・表
・チェックリスト
・コード
・数式
・タスクリスト
・投票テーブル
・かんばんボード
・進捗状況トラッカー
・チームの振り返り
・Q&A セッション

作成した Loop コンポーネントを他の Microsoft 365 アプリに挿入して利用する方法については「Loop コンポーネントを Office アプリに挿入して使う」で解説します。

Loop ページ

Loop ページは、書式付きの情報やコンポーネントを配置して情報を記録するキャンバスです。
画面左のページ一覧の上にある [+] をクリックすることで、新しいページを作成できます。

ページには名前(タイトル)を付けることができます。
下の例では「新しいページのサンプル」という名前を付けています。

またページのカバー画像やアイコンを設定できます。

ページ内のカーソル位置(下図の赤囲み)に直接文字を入力すると、「段落」として文章が入力できます。

通常の文字ではなく「/」(半角のスラッシュ)を入力すると以下のようなメニューが表示され、入力する情報の書式やテンプレートの種類を選択できます。

Loop ワークスペース

複数の Loop ページをまとめて管理する単位が Loop ワークスペースです。自分が利用できるワークスペースは、Loop アプリのトップページに一覧表示されます。また画面左側のナビゲーションにも表示されます。

画面左上の [+] をクリックすると、新しいワークスペースが作成できます。

Loop アプリの利用を開始すると、「マイワークスペース」という個人用のワークスペースが1つ自動的に作成されます。これに加えて、共同作業用のワークスペースをいくつでも作成できます。

プロジェクトなどの共同作業で Loop を利用する際の使い方の想定としては、以下のようになります。

Loop ワークスペース

プロジェクト全体でワークスペースを共有

Loop ページ

プロジェクト内の個々の課題にページを割り当て

Loop コンポーネント

課題内の個々の作業に対応するコンポーネントを作成

Loop コンポーネントを Office アプリに挿入して使う

Loop コンポーネントの大きな特徴はポータビリティです。コンポーネントは Loop アプリ内で作成・編集できるだけでなく、
他の Microsoft 365 アプリ内で利用することも可能です。

Outlook のメッセージに Loop コンポーネントを挿入した例

Loop アプリ(ページ)を含め、どのアプリに挿入されていても Loop コンポーネントの実体は1つです。同じコンポーネントを複数の場所から同時に閲覧・編集できるようになっていますので、表示されているデータは常に同じものになります。
現在 Loop コンポーネントの挿入が行えるのは、Outlook、OneNote、Whiteboard、Teams です。挿入が可能なアプリは今後追加される予定です。

複数のユーザーが複数の場所に挿入している1つの Loop コンポーネントがすばやく同期され共同編集できるのは、Fluid Framework という新しい同期・分散処理のためのテクノロジーが利用されているためです。
Fluid Framework について詳しくは以下を参照してください。

Loop コンポーネントを挿入する手順

Loop ページで作成したコンポーネントを他のアプリに挿入する手順は以下の通りです。

  1. Loop ページのコンポーネントをマウスでポイントすると、コンポーネントの右上に3つのアイコンが表示されます。
  2. 真ん中の [コンポーネントのコピー] をクリックします。
  3. [リンクをコピーしました] と表示されます。
  4. コンポーネントを挿入するアプリに移動して、コピーしたリンクを貼りつけます。リンクを貼りつけると、その位置にコンポーネントが挿入されます。以下は Outlook のメッセージ作成画面に挿入されたところです。

Loop コンポーネントのアクセス権

Loop コンポーネントも他の Microsoft 365 のデータと同じようにアクセス権が設定されており、アクセス権のないユーザーは利用できないようになっています。 上の例のように Outlook のメッセージにコンポーネントを挿入して送信した場合、受信者にアクセス権が無いと、コンポーネントを表示・利用できません。そのため、コンポーネントを他のアプリに挿入して利用する場合、アクセス権を調整する必要があります。 Outlook の場合、アクセス権の調整は以下のように行います。

  1. 挿入されたコンポーネントのタイトルをクリックします。
  2. メニューが表示されますので、[既にアクセス権を持っている人が表示または編集できます] をクリックします。
  3. 必要に応じてアクセス権を変更します。
  4. OneNote や Whiteboard に挿入した場合は、以下のようなメッセージが表示されます。
  5. [挿入して共有] をクリックすると、挿入先のノートやホワイトボードのアクセス権が Loop コンポーネントにも反映されます。
  6. Teams に挿入する場合も、以下のようにアクセス権についての警告が表示される場合があります。

    [アクセス権を付与する] をクリックすれば、投稿しているチャネルやチャットのメンバーに自動的にアクセス権が設定されます。

コンポーネントのリンクをコピーする際にアクセス権を調整することもできます。

  1. リンクのコピーで [設定] をクリックします。
  2. [リンクの設定] が表示されます。必要に応じた設定を行ってください。
  3. [適用] をクリックすると、設定したアクセス権のリンクがコピーされます。

Office アプリで Loop コンポーネントを作成する

Loop コンポーネントを挿入できるアプリでは、アプリ内で Loop コンポーネントを作成して挿入することができます。

  • Outlook ではメッセージ作成画面の [挿入] タブに [Loopコンポーネント] があります。
  • OneNote でも [挿入] タブに [Loopコンポーネント] があります。
  • Whiteboard では [その他のオプション] をクリックすると [Loop コンポーネント] があります。
  • Teams では投稿の作成欄の下部に Loop コンポーネントの挿入ボタンがあります。

    このように、どのアプリで作業していてもすばやく Loop コンポーネントを作成・挿入して、共同作業を開始することが可能です。

Copilot と Loop

最近の Microsoft 製品では AI 機能(Copilot)が取り入れられていますが、Loop でも Copilot が利用できます。また Copilot チャットの応答から Loop ページを作成することもできます。

Loop アプリの Copilot

Microsoft 365 Copilot ライセンスを持っているユーザーは、Loop アプリでのコンテンツ作成に Copilot を利用できます。

  1. Loop ワークスペースで新しいページを作成すると、画面下部に Copilot が表示されます。
  2. プロンプトを入力し、 をクリックして Copilot に実行させると、以下のようなページのひな型を作成してくれます。この内容をベースに実際の情報を入力していくことで、白紙の状態からページを作成するのに比べて大幅に手間が省けます。
  3. ページに入力を行うときも、Copilot を利用できます。
  4. このように「Copilot を使用するか…」と表示されている部分をクリックすると、右側に Copilot アイコンが表示されます。
  5. Copilot アイコンをクリックすると、プロンプトの入力欄が表示されますので、必要な情報を入力します。
  6. 実行すると、以下のような案内文の下書きを作成してくれます。これを共同編集して実際に利用する案内文を作成できます。

Copilot Pagesと Loop

Microsoft 365 Copilot チャットに「Copilot Pages」という機能があります。
以下のように Copilot チャットでプロンプトを実行すると…

※ Copilot Chat の新しい画面が展開中のため、環境により画面が異なる場合があります。

  • Copilot が調べた結果をまとめて表示してくれます。

    この Copilot からの応答を「ページ」として保存し、編集することができる機能が「Copilot Pages」です。

  • Copilot からの応答の最後に (Pages で編集)というボタンが表示されます。

    ※従来の画面では以下のように表示されます

  • ボタンをクリックして [Pages で編集] を選択すると、画面の右側に応答内容が編集可能なページとして表示されます。
  • ページは自動的に保存されているので、後から Microsoft 365 Copilot チャット画面の左のナビゲーションにある [ページ] から呼び出して表示できます。

    ※従来の画面の場合は、[最近使用したページを開く] ボタンから呼び出すことができます。

  • この「Copilot Pages」の実体は Loop ページです。Loop アプリで [マイワークスペース] を開くと、Copilot Pages のページが保存されていることが分かります。
  • Copilot Pages のページは通常の Loop ページと同様に、共有して共同編集する、Loop コンポーネントを作成して他のアプリに挿入する、などが可能です。

Loop のデータとライセンス、費用

Loop のデータ(ワークスペース・ページ・コンポーネント)は、作成した場所に応じてさまざまなストレージに格納されます

作成場所 保存場所 備考
Loop アプリ SharePoint Embedded *
Copilot Pages SharePoint Embedded *
Teams チャネル メッセージ SharePoint サイト チームに紐づいたサイト
Teams チャネル会議 SharePoint サイト チームに紐づいたサイト
Teams チャット OneDrive for Business 作成者の OneDrive
Teams チャネル以外の会議 OneDrive for Business 作成者の OneDrive
Outlook メッセージ OneDrive for Business 作成者の OneDrive
OneNote OneDrive for Business 作成者の OneDrive
Whiteboard OneDrive for Business 作成者の OneDrive

*:SharePoint Embedded は Microsoft 365 テナント内全体で共有されるファイルおよびドキュメント管理のシステムです。SharePoint Online ライセンスのあるテナントで利用可能です。SharePoint Embedded 内の Loop のデータ容量は、SharePoint ストレージの容量として計算されます。
詳しくは以下を参照してください。

Microsoft Loop の多くの機能は Microsoft 365 ライセンスを持つユーザーが利用できますが、各機能の利用には上記の保存場所が利用できるライセンスが必要です。Loop ワークスペースを含むすべての Loop アプリ機能にアクセスするには以下のライセンスが必要となります。

・Microsoft 365 Business Standard
・Microsoft 365 Business Premium
・Microsoft 365 E3
・Microsoft 365 E5

まとめ

Microsoft Loop はさまざまな情報を共有し、共同編集によりインタラクティブに共同作業を行うための新しいプラットフォームです。Fluid Framework により従来の Office アプリより高速で堅牢な同期が行え、共同作業がより効率化できます。
また Outlook や Teams などのアプリ内に Loop コンポーネントを挿入できるので、共同作業のための準備が簡単になります。
すでに Loop のすべての機能が利用できる Microsoft 365 サブスクリプションをお持ちの方は、ぜひ Loop をお試しください。また Microsoft 365 サブスクリプションの導入や サブスクリプションのアップグレードにつきましては、お気軽に当社担当営業までお声がけください。

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