Azure 第4回『仮想マシン向けAzure RI について』

こんにちは。Azure担当の新井です。
突然ですが、Azureにはサーバー周辺機器のような物理コストや、それ以外の視覚化できない部分のコストメリットが多くあります。しかし、純粋な金額的コストも抑えたいですよね。
そんな時に利用したいのがAzure RI(Reserved Instances)です。
今回は最もよく利用される仮想マシン向けのAzure RIについて、それがどういったものか、その仕組みや使用上の注意点などをご紹介していきます。

<Azure RIの概要>
Azure RIとは、仮想マシンの「コンピューティング料金」を事前に1年もしくは3年分予約して、割引料金で利用できる購入オプションです。
Azure Virtual Machines(仮想マシン)では、通常主な課金対象として「コンピューティング料金」と「OSライセンス料金」があります。
その「コンピューティング料金」部分を予約して、割引金額で利用できるようにするオプションが、「Azure RI」です。

〇利用イメージと適用の仕組み


利用イメージとしては、上図のように既に稼働している仮想マシンに対して、Azure RIという割引料金の箱を被せるようなイメージです。
その箱に収まる仮想マシンであれば、しっかり割引料金が適用されるというようなかたちです。
そのため、注意点として後述しますが、RIを適用させたい仮想マシンが作成されていない状態でRIを購入するのはおやめください。ただただ損をすることになります。
また、仮想マシンには「インスタンス」と呼ばれる、仮想マシンの種類(型番のようなもの)があり、RIを適用させる際には、上図を例にすると「Dv3」というインスタンスが適用対象なので、同じく「Dv3」のRIを購入していただくのが一般的となります。こちらも後述しますが、適用対象のインスタンスと購入するRIのインスタンスが異なると、割引料金が適用されないので、購入時には注意が必要です。
さらにRIには、「インスタンスサイズの柔軟性」という特性があり、下図のように、同じインスタンスグループに属している仮想マシンであれば、単一のRIを複数の仮想マシンに適用できます。
割引料金が変わるわけではないので、インスタンス毎に個別に適用していただいても問題ないのですが、購入したRIの管理を少し楽にしてくれる特性です。


上記に示した「インスタンスサイズの柔軟性」を利用して、同じVMインスタンスグループに属する仮想マシンが2台稼働している状態で、RIがどのように割り当たるかを図示すると下図のようになります。
RIは適用対象を仮想マシン単位で指定することはできないため、あくまでインスタンスを選択して、そのインスタンスの仮想マシンが存在していれば自動で割り当たるという方式になっています。
そこで、下図内青色で示した仮想マシンをA、オレンジ色で示した仮想マシンをBとした時、9時~10時の1時間では、仮想マシンAが0.75時間、仮想マシンBが0.5時間稼働していて、計1.25時間同じインスタンスグループの仮想マシンが稼働していたことになります。
そして、RIは1時間当たりの利用毎に対して割引が入りますので、1.25時間の内の1時間が割引されたかたちとなっています。
その次の10時~12時までの時間帯では、仮想マシンAが1時間、仮想マシンBも1時間稼働で、計2時間の稼働となっており、この場合、仮想マシンAがRIの割引分をフルに満たすかたちで適用されるため、仮想マシンBの利用分についてはRIの適用外となり、通常の従量課金で請求されることになります。
そして最後の12時~の時間帯では、仮想マシンAは停止し、仮想マシンBのみが1時間稼働しています。この場合、インスタンスサイズの柔軟性によって、仮想マシンAの利用分に割り当たっていたRIが仮想マシンBの利用分にスライドされて割り当たるかたちとなります。
このように、同じインスタンスグループに属する仮想マシンがあれば、RIはその時稼働している仮想マシンに割り当たるため、RIの割引を過不足なく受けることができます


この適用の仕組みを簡潔に説明すると下図のようになります。
例えば、東日本リージョンで利用する仮想マシン、インスタンスはD2 v3。それの1年分のRIを購入するというのは、平たく言えば、24時間×365日=8,760時間分の利用料を割引金額で事前購入(予約購入)すると表せます。
その8,760時間分の割引を1時間ずつ消費(適用)していくため、上図で示したような割り当て方が実現できるようになっています。
参考として、Microsoft 標準価格ベースで、D2 v3のインスタンスであれば、月461時間以上の稼働が想定される場合、RIを適用していただく方が安く利用できます。

長くなりましたが、以上がRIの利用イメージと適用の仕組みとなります。
続いて、実際にRIを注文する際の注意点などをまとめていきます。

〇注文時の注意点など

実際に発注していく際に気を付けるべき点を下記に列挙していきます。

対象のサブスクリプション、仮想マシンはありますか?
→Azure RIは弊社のサブスクリプション管理ポータル「iKAZUCHI(雷)」から注文いただけるのですが、その際にRIを適用させたい仮想マシンリソースが存在するAzureのサブスクリプション(契約)がないと、RIを発注することができません。ご注文の際はまず、Azureのサブスクリプションを発注し、適用させたい仮想マシンリソースを作成してからご注文ください。
※弊社提供のCSP Azureでは、Azure PortalからRIを購入することができません。必ず「iKAZUCHI(雷)」からご注文いただきますようお願いいたします。

適用対象の仮想マシンのリージョン、インスタンスは間違いないですか?
→冒頭のあたりでも記載しましたが、RIは適用対象の仮想マシンが存在するリージョン、そのインスタンスごとに注文を行いますので、ここで間違ってしまうと、「せっかく購入したのに割引が適用されていない!」なんてことも起きえますのでお気をつけてください。

お支払い方法は間違いないですか?
→予約購入と言っても、RIのお支払いは、「事前一括払い」と「月払い」が選択可能です。また、1年予約か3年予約かを選択可能です。3年予約の方がより割引率が高いので、しっかり検証したうえで、3年予約を利用できれば、大幅なコスト削減に繋がります。注文内容については後で変更したり、解約したりというのは原則できませんので、ご注意ください。

※また、よくある問い合わせとして、「RI利用中に仮想マシンのスペックを上げた(下げた)場合はどうなるのか」というのがございますが、答えは「スペックを上げた場合、購入したインスタンスのスペックより上であれば、(コア数やメモリが)溢れた分は通常の従量課金で請求され、元々適用されている分については、インスタンスサイズのグループが変更されていなければ、引き続き割引が適用されます。購入したスペックより下であれば、インスタンスサイズのグループ変更がされていない前提ですが、そのまま割引が適用されます。ただしその際、購入した分が4コア、メモリ16GBのインスタンスから2コア、メモリ8GBのインスタンスへの変更などの場合には、半分RIがどこにも適用されず、無駄に消費されるかたちとなります。」となります。 考え方が難しいため、Microsoft の公式Docsもご参照ください。

ご注文時の注意点としては以上となります。
また、実際に弊社経由でRIをご注文いただく際には、専任チームでサポートも可能ですし、本文中にも度々引用していますが、Azure RIの提案資料も配布させていただきます。
ぜひ、Azure運用におけるランニングコストを抑える方策として、「Azure RI」を今一度ご検討していただければと思います。

〇まとめ

  • Azure RIは仮想マシンのランニングコストを抑えるための予約購入オプション
  • 1年、3年予約を一括払い、月払いで選択可能
  • インスタンスサイズの柔軟性など独自の特性があるため、ご注文の際には注文内容確認必須
  • DISでは、Azure RIのご注文もしっかりサポートします!

ということで、今回は「仮想マシン向け Azure RIについて」ご紹介させていただきました。仮想マシン向けというからには、他のリソースにも適用できるのでは?と思った方、鋭いです。
とは言え、仮想マシン向けだけでもこのボリューム感ですので、まずはここから慣れていただき、RIの仕組みを完全に理解出来たら他のリソースでもRIの適用を検討してみて良いと思います。
皆様のAzure運用の一助となれば幸いです。

〇提案コンテンツ(リーフレット)のご案内

・Azure RIとは?

※資料のダウンロードにはiDATEN(韋駄天)へのログインが必要です。ID発行ご希望の場合は当社担当営業までご相談ください。

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