マルチクラウド 担当者コラム
マルチクラウド・Azure
Azure 第9回『仮想マシン(クラシック)のARM移行はお済みですか?
-この機会にCSP契約をご検討ください-』
Azure 仮想マシン(クラシック仮想)の廃止とその対応
「仮想マシン(クラシック)」の廃止
Microsoft Azureの仮想マシンには「仮想マシン(クラシック)」と「仮想マシン(ARM)」の2種類があります。「仮想マシン(クラシック)」は2023年9月をもって廃止されます。
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「仮想マシン(クラシック)」は Microsoft Azure がまだ「Windows Azure」と呼ばれていた初期から提供されている形式の仮想マシンで、Azure Service Manager(ASM)を通じて管理されます。
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「仮想マシン(ARM)」は 2014 年から提供されている新しい形式の仮想マシンで、Azure Resource Manager(ARM)を通じて管理されます。
この2つの形式は仮想マシンの実行環境が異なるため、「仮想マシン(クラシック)」をそのままAzure Resource Managerの環境で動作させることはできません。
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クラウド ソリューション プロバイダー(CSP)契約では、ARMのみ提供しております。
クラシック環境とARM環境の違いについて詳しくは、次のMicrosoft ドキュメントを参照してください。
MicrosoftはAzureの環境を古いAzure Service Manager(ARM)から新しいAzure Resource Manager(ARM)に徐々に移行しており、ASMで管理される「仮想マシン(クラシック)」は2023年9月以降、それまで「仮想マシン(クラシック)」を作成したことのないサブスクリプションでの新規作成ができなくなっています。
さらに2023年9月1日で「仮想マシン(クラシック)」のサービスは廃止される予定です。この日以降はASMを使用して「仮想マシン(クラシック)」を起動することはできなくなります。まだ実行または割り当てられているものは停止され、割り当てが解除されます。割り当て解除後、リソースの削除について通知されます。
「仮想マシン(クラシック)」を利用している場合、2023年9月1日までにAzure Resource Manager(ARM)を使った環境に移行する必要があります。移行しなかった場合、仮想マシンは自動的に停止され、一定期間経過後に削除されます。
また、現在Azure を Microsoftとの直接契約で利用されているお客様は、当社とのクラウド ソリューション プロバイダー(CSP)契約に変更していただくと、当社からサポートが可能になり、移行作業をご支援させていただくことができます。CSP契約への変更につきましては、当社担当営業にご相談ください。
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クラウド ソリューション プロバイダー(CSP)とは、Microsoft クラウド サービスの再販・サポート・ソリューション提供を行うことができる、認定されたMicrosoft パートナーです。
参考情報(Microsoft のアナウンス)
仮想マシン(ARM)に移行すると、以下のような仮想マシン(クラシック)では利用できなかった機能が利用可能になります。
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リソース グループ単位でのアクセス権設定
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リソースへのタグ付け
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JSON(リソース マネージャー テンプレート)によるリソース定義とデプロイ
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仮想マシンの自動シャットダウン
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管理ディスクの利用
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シリアル コンソールの利用
「仮想マシン(クラシック)」の利用確認
Azureで「仮想マシン(クラシック)」を利用しているかどうか、以下の手順で確認できます。
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Azure ポータルに、サブスクリプションの管理者権限のあるアカウントでサインインします。
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[Azure サービス]欄に[Virtual Machines]が表示されていたら、それをクリックします。
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[Virtual Machines]が表示されていない場合は[その他のサービス]をクリックし、[カテゴリ]で[コンピューティング]を選択して[Virtual Machines]をクリックしてください。
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そのサブスクリプションで作成されている仮想マシンが一覧表示されます。
[種類]欄に「仮想マシン(クラシック)」と表示されている仮想マシンがないか確認してください。
「仮想マシン(クラシック)」がある場合、その仮想マシンは 2023年9月1日以降利用できなくなります。
「仮想マシン(クラシック)」をARMに移行する
2023年9月1日以降、引き続き仮想マシンを利用するには「仮想マシン(クラシック)」をARMに移行する必要があります。
以降のパターンは以下の2つです。
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仮想マシンの再デプロイ
利用中の「仮想マシン(クラシック)」と同等の構成の Azure Resource Manager の仮想マシンを作成し、仮想マシン上のデータやワークロード(アプリケーションやサービス、データ)を移行します。 -
仮想マシンの移行
Azureが提供している移行のための機能を利用して、「仮想マシン(クラシック)」をARMに移行します。
また、「仮想マシン(クラシック)」で実行しているワークロードの種類によっては、PaaSのサービスに移行することも検討できます(SQL Server ⇒ Azure SQL Database・SQL Managed Instance、ファイル サーバー ⇒ Azure Files など)。
仮想マシンの移行
仮想マシン(クラシック)への移行は、Azure ポータル、Azure PowerShell、Azure CLIのいずれを利用しても行えます。
仮想ネットワーク内
仮想マシン(クラシック)が仮想ネットワーク(クラシック)に接続している場合は、仮想ネットワーク(クラシック)単位でARMに移行します。
この操作はAzure ポータルで可能です。
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Azure ポータルで移行対象となる仮想ネットワーク(クラシック)のブレードを開き、[設定]に表示される[ARM への移行](Migrate to ARM)をクリックします。
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[検証](Validate)をクリックすると、移行するリソースがARMへの移行の前提条件を満たしているかどうかチェックされます。
ここでエラーが表示される場合は、エラー内容を確認して対処してください。
例えば、仮想マシン(クラシック)にAzure Backup 拡張機能がインストールされてバックアップが有効になっている場合、この拡張機能は移行できないためエラーになります。一旦バックアップを無効にしてAzure Backup 拡張機能をアンインストールすることで、エラーを回避できます。移行でサポートされない機能については、以下を参照してください
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すべての検証がエラー無く完了したら[準備]をクリックします。これでARM側にクラシック側と同等のリソースが作成されます。
ARM側仮想マシンの操作確認を行って、正しく移行できていることを確認してください。 -
移行が問題なく行えている場合は、[コミットか中止する](Commit or abort)で「はい」(yes)を入力して [コミット](Commit)を選択します。[コミット]を選択すると、クラシック側のリソース(仮想マシン(クラシック)や仮想ネットワーク(クラシック)が削除され、ARM側のリソースのみ利用できる状態になります。
もし移行に問題がある場合は[中止](Abort)を選択して、ARM側に作成されたリソースを削除し、クラシック環境に切り戻すことができます。
仮想ネットワーク外
仮想マシン(クラシック)が仮想ネットワーク(クラシック)に接続していない場合は、Azure PowerShellまたはAzure CLIを利用してARM環境に移行します。
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仮想マシン(クラシック)が仮想ネットワーク(クラシック)に接続している場合でもAzure PowerShellまたはAzure CLIを利用した移行は可能です。
Azure PowerShellまたはAzure CLIを利用した移行については、以下のMicrosoft ドキュメントを参照してください。
ストレージ アカウント
「仮想マシン(クラシック)」をARMに移行した場合でも、ディスクを管理するためのストレージ アカウントはクラシック(Azure Service Manager)のままです。そのまま利用することは可能ですが、管理ディスクなどARMの機能を利用するには、ストレージ アカウントもARMに移行する必要があります。
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ストレージ アカウント(クラシック)は 2023年9月の「仮想マシン(クラシック)」の廃止対象には含まれていません。
ストレージ アカウントの移行については、以下のMicrosoft ドキュメントを参照してください。
移行の計画と実施
実運用環境の仮想マシン(クラシック)を移行する場合、十分な計画を立て、検証し、移行をすすめる必要があります。
多くのシナリオではワークロードのダウンタイムは避けられるか最小化されますが、ダウンタイムの発生がシステムのユーザーに影響を及ぼさないように検討する必要があります。またワークロードと異なり、仮想マシンの管理(仮想マシンの再起動やディスクの追加などの作業)は、移行中は行うことができなくなります。

また、仮想マシン(クラシック)の構成によっては移行のための準備作業やPowerShellやCLIのコマンドでの操作が必要になります。
「仮想マシン(クラシック)」から「仮想マシン(ARM)」への移行の計画や実施でお困りのことがありましたら、ぜひ当社担当営業にご相談ください。
CSP契約のお勧め
Azureはクラウド ベースのサービスであるため、技術の進歩やセキュリティ強化、全体的なサービス向上のため、運営しているMicrosoft 社がサービス内容の変更を行うことがあります。それに伴い、今回の仮想マシン(クラシック)の提供終了のように使用しているサービスが提供終了となる場合、利用者側で移行の作業を行わなければなりません。
CSP契約であれば、仮想マシン(クラシック)からの移行のようなAzureのロードマップ(将来的なサービスの提供・改廃の予定)に伴って必要となるお客様環境の再構築について、当社からご提案することが可能です。
それ以外にもCSP契約に移行して頂くことで以下のようなメリットがあります。
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請求書に基づく支払いが可能
Azureの料金はCSPからお客様に請求書を発行し、それに基づいてお支払いいただく方法が可能です。(円での請求となりますが、為替の影響で金額の変動がございます) -
Azureサービスの再販が可能
CSPで購入いただいたAzureサービスは、お客様独自の付加価値を付けてエンドユーザーに再販できます。お客様のアプリケーションやサービスを Azure 上に展開し、エンドユーザーに有償提供することができます。
その他にも、当社では「DISクラウドビジネスセンター for Microsoft Azure」、「Microsoft CSP サポート窓口」をご用意しており、一般的な技術情報の提供、技術的な使用方法全般のご相談、概算見積(Azureのみ)などのお問い合わせに対応しております。また、DIS Azure サイバーリスクサポートの無償付帯によるAzureご利用中における障害リスクもサポートしております。
現在AzureをMicrosoftとの直接契約で利用されているお客様は、この機会にCSP契約への移行も是非ご検討ください。
【参考URL】
マルチクラウドの記事
