VMworld2019で発表されたProject PacificとTanzuについて

こんにちは、VMware担当の及川です。

今回は8月末に行われた、VMworldで発表のあった内容についてご紹介いたします。

※可能な限り正確な情報を掲載するように努めますが、修正が必要な内容や、プロジェクトについては、今後変更される可能性もありますので、予めご了承ください。

今年もVMwareのビジョンはAny Cloud、Any Application、Any Deviceでした。これらを支援するためのソリューションがVMworldで発表されました。

VMware Vision

今回の目玉は以下、2つの発表で間違いないでしょう。

・Project Pacific
・VMware Tanzu

モダンアプリケーションを作っていくには、インフラ面から支援する、Kubernetesはキーとなるソリューションです。そのKubernetesをエンタープライズ企業が利用する上で必要な、ユニークな機能が今回紹介されました。では、それぞれについてもう少し解説していきます。

<Project Pacific>
vSphere上で、Kubernetesクラスタ、仮想マシン、Podsの実行が可能になります。

Project Pacific

Project Pacificとは、Kubernetesのコントロールプレーンとして動作するよう、再開発しなおしたvSphereを指します。今後vSphereは、単なるKubernetesの実行環境だけでなく、全てのワークロードを動かすことが可能なプラットフォームを提供します。この発想は、オンプレミスの仮想環境のリーダーであるVMwareしか提供できない方法だなぁと個人的に思いました。
特にエンタープライズ領域にて、コンテナを使うためには、データの保持をどうするか、そして既存VMとどう融合するかが課題でした。しかし、今後はESXi上で直接コンテナが利用できるようになるため、既存のVMとの連携も容易にできるようになり、アプリケーション開発がしやすい環境が提供されるため、エンタープライズ企業のモダンアプリケーション化が進んでいくと思いました。

次に内部のアーキテクチャについて説明します。
下記は、スーパーバイザークラスタ(Linuxの代わりにESXiにて提供されるKubernetesのクラスタ)の図となります。

■スーパーバイザークラスタ

スーパーバイザークラスタ

Masterノード(親)については、仮想マシンとして、実装され、ESXiはワーカーノード(子)として動きます。KubeletをvSphereのカーネルに統合し、Sphereletとして提供されるようですので、コンテナ展開時は、スーパーバイザークラスタにログインし、yamlから直接、コンテナのデプロイもできるようになります。

さらに、管理者にとって、2つのメリットを提供します。

・Namespace を利用したアプリベースの管理
個々のコンテナ、VM 単位で管理するのではなく、アプリの塊として管理することができます。そして、VMware が強みとするサーバ、ストレージ、NW に対するポリシー管理 (リソース、可用性、性能、セキュリティ) を組み合わせることも可能となります。

Namespace

・開発者のセルフサービスを実現
開発者がアプリをデプロイした後、管理者が個々にポリシーに準拠しているか確認する必要がありましたが、
管理者がNamespace にポリシーを一度設定するだけで、開発者は自由に触ることができるようになります。セルフサービスを簡単に提供できるようになる点もユーザー目線でいい実装ですね。

詳細につきましては、下記ブログをご参考ください。技術内容がまとめられていました。
https://blogs.vmware.com/vsphere/2019/08/project-pacific-technical-overview.html

<VMware Tanzu>
「Build(モダンアプリケーションの構築)」「Run(稼働)」「Manage(管理)」という3つの分野のKubernetes用のフレームワークとなります。

Build - heptio に引き続き bitnami, Pivotal を買収
Run - Project Pacific の発表、vSphere に k8s を統合し、コンテナプラットフォームとして拡張
Manage - Tanzu Mission Control の発表、マルチクラウドに対するオープンなコンテナ管理サービス

VMware Tanzu

さらに、Tanzu Mission Controlの発表がありました。
Enterprise レベルで求められる管理機能群を SaaS にて提供されます。

Tanzu mission control

Tanzu Mission Controlを使うことで、単一の管理ポイントからAmazon Elastic Kubernetes Service(EKS)、Azure Kubernetes Service(AKS)、Google Kubernetes Engine(GKE)などのKubernetes環境を集中管理することが可能です。

Tanzu Mission Controlですが、下記URLの「GET IN TOUCH」より、実際に試すことが可能です。
https://cloud.vmware.com/tanzu-mission-control

また、Tanzu Mission Control のHow to Guide White Paper は以下のリンクからダウンロード可能です。
https://pages.cloud.vmware.com/l/338801/2019-08-21/2v77rz/338801/154459/Final_4__Tanzu_Mission_Control_How_to_guide__2.pdf

まだ、プロジェクトベースの話ではあるものの、着実にコンテナの流れを感じることができた発表でした。オンプレミスでもコンテナが使われるようになってくると、既存のVM環境と連携し、より最適な使い方もできるようになり、幅が広がりますね。現場からは以上です!

VMwareの記事




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