BCPとは、災害発生時においても、短時間で事業を復旧させるために必要な事項を具体的に示した計画をいいます。

企業が被災しても、BCPに沿って迅速に復旧し、事業の中断やサービス低下を最小限にとどめることができます。

DIS取り扱い製品の中で、BCPに役立つソリューションをわかりやすいイラストでご紹介します。

BCPとは、地震や洪水などの自然災害、感染症の流行や予期せぬ大事故などが発生した場合であっても、企業の事業を中断させない、あるいは短時間で復旧させるために必要な方針・業務体制・具体的手順を示した計画をいいます。

BCP策定に求められる重要ポイントとして、以下の5つがあげられます

  1. 優先して継続・復旧すべき中核事業を特定する
  2. 緊急時における中核事業の目標復旧時間を定める
  3. 緊急時に提供できるサービスのレベルについて顧客と予め協議する
  4. 事業拠点や生産設備、仕入品調達等の代替策を用意する
  5. 全ての従業員と事業継続についてのコニュニケーションを図る

※中小企業BCP策定運用指針より

突発的に発生する地震災害には、防災・減災に対する日常的な取り組みが重要

地震災害は、いつ、どこで起きてもおかしくない状態です。例えば、南海トラフ巨大地震は、今後30年間で70~80%の確率で発生するとされており、地震が発生した場合には、静岡県から宮崎県にかけての地域では震度6弱~7という強い揺れが発生する恐れがあるほか、関東地方から九州地方の太平洋沿岸で10mを超える大津波の襲来が想定されています。

事前予測の難しい地震災害に対しては、日常的に重要データのバックアップを行ったり、いざという時でもデータにアクセスできるような対策を行うなど、継続的な取り組みが重要となります。

大型化・長期化する風水害には、予報段階からの対応を含めた計画が重要

近年では日本に上陸する台風の大型化、発生期間の長期化により、多くの地域で河川の氾濫や建物への浸水被害、山間部での土砂災害が報告されています。

風水害は突発的な自然現象ではないため、予報の段階から対応を始めることにより、被害の低減と迅速な復旧が可能になります。BCP策定においても、予報の段階から重要リソースを浸水被害の少ない場所へ移動、データのバックアップや移動困難を想定した人員リソースの配置等の対応策を計画として盛り込むことが重要となります。

影響が長期化するパンデミックには、感染を拡げない体制作りが重要

パンデミックによる事業停止は影響が長期間に及びますが、影響が出るまでに時間的な余裕があり、インフラへの影響も限定的です。そのためBCPでは感染を広げない工夫に重点が置かれます。

社員が体調の異常を感じたら、直ちに医療機関の診察を受けて、出勤停止などの措置が取れるようにする必要があります。「多少の熱だから大丈夫」と、個人の判断に任せて、感染を拡大する事が無いようにしなければなりません。

BCP策定においては遠隔地でも業務を継続できるよう「リモートワーク」に対応できる環境を整え、円滑に業務を推進できる柔軟な体制作りが重要となります。

BCPの策定は経営改善につながります

BCPを策定することは平常時の事業継続の戦略を考えることでもあります。
BCP策定は、企業・組織にとって重要な業務、資源、プロセス等について見直すきっかけとなり、企業を取り巻く環境変化への対応、さらには経営改善へとつながります。

被災後のサービスレベルの低下を防ぎ、迅速な復旧を実現するためにBCPの策定が重要です

ひとたび大規模な災害が発生すると、被災地域の企業では出社できる人が極端に減ってしまったり、社内のIT環境にも大きな被害が生じるおそれがあります。これらの復旧には時間がかかり致命的な問題になりかねません。そのような状況下においても被災を免れた人員・設備で、数ある業務の中から特に重要な業務を継続させ、サービスを最低限許されるレベルに保ち、経営上許容できる期間で復旧するように、BCPの策定で「リスクの分散」「代替リソースの用意」「災害発生時の人員計画」をあらかじめ規定しておくことが重要です。

事業継続計画(BCP)の概念(内閣府HPより)

ケース1:地震・大雨などの自然災害を想定したケース

BCPを策定しておくことで災害発生による経営上の被害を最低限にし、事業再開までの時間を短くすることができます。
大規模災害発生時のBCPでは、特に重要な業務を最低限継続するための対策が中心となり、そのために必要となるネットワークインフラ、重要データを維持できる環境を整えることが重要となります。

ネットワーク

大規模災害発生時でも、Wi-Fi環境であれば物理的な切断や浸水被害にも強く、万一機器が破損した場合でもアクセスポイントの復旧が容易です。

サーバー/ストレージ

サーバー/ストレージの小型・シンプル化で、省スペース・省電力・低コストを実現。ストレージの仮想化は重要データのバックアップ、冗長性の向上にも貢献します。

バックアップ/レプリケーション

高速・小型・大容量なファイルサーバーの導入により低コストでのバックアップ/レプリケーション環境を実現、万一の事態においても重要データの喪失を防ぎます。

ケース2:パンデミック(感染症の大流行)を想定したケース

BCPを策定しておくことで人員不足による事業の停滞や停止を防ぎ、利益の損失や顧客・取引先の喪失を防ぎます。
パンデミック(感染症の大流行)による人員不足は、業務に対する影響が長期に及ぶため極めて重大です。在宅で業務を行う「リモートワーク」のような通常とは異なる勤務形態であっても、円滑に業務を推進できるような環境の整備、連絡方法の構築が重要となります。

ファイル共有

遠隔地からでもインターネットを通じ、業務に必要なファイルへのアクセスを可能にします。情報の一元管理により、業務の効率化や生産性の向上にもつながります。

Web会議

遠隔地に居る人やチームと必要に応じていつでも手軽にコミュニケーションを取ることができます。移動コストの低減にもつながり、業務進行の迅速化を実現します。

リモートアクセス

社外からでも社内で使っている端末と同じ環境で業務を行なうことができます。社外の端末にはデータを残さないため、情報セキュリティ的にも優れています。

様々なケースに備えたBCPを策定し、ITインフラを整えておくことで、
災害時の混乱から迅速に復旧し、経営の安定度を高める事が出来ます。

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各省庁が発行するBCP関連資料

BCPの策定を支援するため、各省庁からガイドライン・解説資料などが発行されています。ここでは、内閣府 防災担当の発行資料を基に、BCP策定手順と見直しのサイクルを紹介します。

事業継続計画策定について(内閣府HPより)

出典:「事業継続ガイドライン-あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応」(平成25年8月改定)(内閣府)
http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/keizoku/pdf/guideline03.pdf を加工して作成

※本図では、見直し・改善から方針の策定へ実線の矢印を記していますが、実際には分析・検討以降のプロセスに直接つながる事項も多いため、その部分を破線の矢印で記しました。

BCP策定に関するガイドライン・解説

この他にも、経済産業省などからBCPに関するガイドラインが公開されています。併せてご参照ください。