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Collaboration 第85回 「Microsoft Teams会議におけるWebexデバイス活用術 その4 ~ VIMT ~」

 

こんにちは。ディーアイエスサービス&ソリューション株式会社でシスココラボレーション製品の担当エンジニアをしております斎藤です。

 

前回まで、WebexデバイスをMS Teams会議でも利用できる方法として、「USBパススルー」「WebRTC」と紹介してきましたが、今回が最後の活用パターン「VIMT」です。「VIMT」は最も機能性に優れたパターンです。一方で、導入難易度が高く、提案が難しい癖のあるソリューションでもあります。今回は、そんな「VIMT」の概要と提案ポイントについてご紹介します。最後まで是非ご覧ください。

 

MS Teams会議におけるWebexデバイス活用術

Cisco Webexでは、昨今のアップデートで、Webexデバイスのマルチプラットフォーム対応が加速しています。中でもMicrosoft Teams(以下、MS Teams)は、Webexデバイスが最も連携が取れるプラットフォームです。MS Teamsでは以下3パターンの活用方法があります。

今回は、「VIMT」を利用したMS Teams会議でのWebexデバイス活用についてご紹介します。

 

VIMT(Video Integration with MS Teams)とは

VIMTは、Video Integration with MS Teamsの略で、プラットフォームベースでCisco WebexとMS Teamsを連携させることができる仕組みです。前回ご紹介したWebRTCと同じくWebexデバイスが直接MS Teams会議に参加することができる方式ながら、WebRTCにあった機能制限がほぼ無い連携方式です。つまり、WebexデバイスをWebexで使用する使用感そのままに、MS Teams会議でも活用できるようになります。

 

ここで少し仕組みの説明をさせていただきますと、VIMTはこれまでの連携の仕組みと異なり、MS Teams自体に設定するような連携になります。連携設定をすることでMS Teams側にビデオ会議端末専用の接続口ができるイメージです。

 

この仕組みの違いによって、WebexデバイスがよりMS Teamsにアジャストでき、Webexデバイスを機能制限なくMS Teamsで活用できる、という訳です。ざっくりとWebRTC接続と機能の比較をしてみますとこんな感じです。

 

「機能性高くMS Teams連携ができる」それがVIMTなのです。次にVIMTを利用するメリット・デメリットについてご紹介します。

 

WebexデバイスのVIMTを利用するメリット・デメリット

・メリット

VIMTに対応したWebexデバイスを会議室に設置することで、会議室が常にWeb会議に接続できるハイブリッド空間に変わります。またVIMTには、WebRTCにあった機能制限がありませんので、Webexデバイスの本来のメリットである「高品質な映像と音声」「自動カメラワーク」「タッチパネルからの簡単操作」をMS Teams会議で活用いただくことができます。

 

会議前のメリットとして、VIMTであれば、わざわざWebexデバイスに招待メールを送付する必要がなくなります。参加の際に会議ID(10桁の数字)さえ分かれば、Webexデバイスから会議IDを入力いただくだけでMS Teams会議に参加できるようになるからです。実際は発信時にアドレス入力も必要になるのですが、事前にアドレス登録をしておけば、「MS Teamsに参加」をタップし、会議番号を入力するだけで会議参加を実現することができます。

 

また会議中の操作では、柔軟なレイアウト変更ができるというメリットがあります。WebRTCでは2×2のグリッドビューが固定レイアウトでしたが、VIMTであれば、最大25拠点を1画面に表示したり、アクティブなスピーカーが大きくなるように表示したり、といった操作がタッチパネルから行えるようになります。またWebexデバイスをデュアルディスプレイで利用している環境であれば、デュアルディスプレイにしっかりと映像を投影させることも可能です。(WebRTCの映像はシングルディスプレイのみ)

 

さらに、Webexデバイスから画面共有ができる点もポイントです。これまでは会議室にいるメンバーは、画面共有・資料共有をする為に同一拠点にいながら複数PCでWeb会議へ参加しなくてはならず、社内ネットワークに無駄な通信負荷がかかっていました。しかし、VIMTを導入することで、少なくとも、会議室にいるメンバーはWeb会議に参加せずとも画面共有・資料共有が可能になります。これにより、1拠点からの接続を1端末だけに抑えることができ、社内ネットワークへの負荷を低減することに繋がります。

 

・デメリット

機能性が高いVIMTですが、導入にあたってはいくつかデメリットもあります。まず、一番わかりやすいデメリットとして、追加で有償ライセンスが必要な点が挙げられます。以下、Room Kit1台をMS Teams会議に接続させる場合の参考構成例になります。

VIMTライセンスは最低5ライセンスから提供が可能なライセンスです(VIMTライセンス数=WebexデバイスがMS Teamsに接続できる台数)。サブスクリプションなので、どうしてもランニングコストかかってしまう点はデメリットになる部分です。

 

またVIMTには運用上の制約があります。VIMTは、“自社”のMS Teamsでしか利用できない、という点です。前半ご紹介した通り、VIMTはWebexデバイスに対してではなく、自社のMS Teamsに対して行う設定になります。これによって、自社のMS Teamsの会議URLに、ビデオ会議デバイス用の会議IDが表示されるようになるのですが、逆にいうと、他社が主催・スケジュールしたMS Teamsにはビデオ会議デバイス用の会議IDは表示されません。つまり、他社がスケジュールしたMS Teams会議にはWebexデバイスから参加することができないのです。VIMTを導入したからと言って、全てのシチュエーションでWebexデバイスが活用できるわけではございませんので、ご注意いただければと思います。

 

最後に、設定の難易度が高いという点が挙げられます。VIMTは、設定するにあたってPowerShellを使ったコマンド認証が必要になりますので、ある程度Microsoft 365管理に精通されている方でないと導入は難しいかもしれません。設定時には必ずMicrosoft 365の管理者の方と連携をいただければと思います。

 

なお、弊社ではVIMT導入に向けたオリジナル設定ガイドもご用意しております。お客様にご案内するにあたっては、こちらのマニュアルも是非ご活用いただければと思います。

・Cisco Webex VIMT(Video Integration with MS Teamsライセンスによる MS Teams 連携の設定

※アクセスには韋駄天へのログインが必要です。韋駄天IDをお持ちでない方は弊社営業担当までご確認ください。

 

いかがでしたでしょうか。VIMTは、導入ハードルが高いものの、機能性高くMS Teams会議でWebexデバイスを活用できることがお分かりいただけたかと思います。VIMTの説明をしてきましたが、弊社のオススメは、追加のオプションライセンスも必要なく、簡単な設定だけで済む「WebRTC接続」です。WebexデバイスがMS Teamsでも使えればいい(音声と映像が届けばいい)という要望が多いと思いますので、ご提案としてもWebRTCがスタンダートかなと思います。とはいえ、MS Teams会議でも「1画面に複数拠点で表示したい」「完全なPCレスな会議空間を作り上げたい」というご要望があるかもしれません。多くは無いと思いますが「そこまで作りこみたい!」とご要望あった際には是非VIMTをご提案いただければと思います。

 

いずれにしても、今後のWebexデバイスのご提案は、「MS Teamsでも使える!」「マルチプラットフォーム対応!」といった点をアピールポイントになるかと思いますので、是非これらのキーワードでご拡販に繋げていただければと思います。

 

本記事でご紹介した内容は、シスコサイトにもいくつか記事がございますので、こちらも合わせてご確認いただけますと幸いです。

・MS Teams 向け Cisco Webex ビデオ統合(CVI)の展開(日本語:ヘルプサイト)

・Offer Description: Cisco Webex Video Integration for MS Teams (英語)

 

 

今回は以上とさせていただきます。最後までご覧いただきありがとうございました。引き続きよろしくお願い致します。

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