CSP 担当者コラム
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Cowork - エージェント AI を利用する
Copilot Cowork とは
Copilot Cowork
AI の技術の進化には目を見張るものがあります。さまざまな AI サービスが登場する中、Microsoft の Copilot にも新サービスが追加されました。それが6月に一般提供が開始された Copilot Cowork です。
Copilot Cowork (以下「Cowork」)は Microsoft 365 で利用できる エージェント AI です。
Microsoft 365 Copilot(以下「Copilot」)のチャットは質問への回答、情報の検索や調査、文書作成を支援する AI アシスタントです。一方、Cowork は作業全体を依頼すると、複数の処理を組み合わせて自動実行するエージェント AI です。
Copilot のチャットは個別の作業を支援しますが、作業ごとにプロンプトで指示する必要があります。一方、Cowork には全体の目的を指示することで、大きなタスクをまとめて任せられます。
より具体的な Copilot と Cowork の違いを以下にまとめました。
| 機能 | Copilot のチャット | Cowork |
|---|---|---|
| 簡単な説明 | 下書き、要約、質問への回答のための、いつでも使える AI | Microsoft 365 全体でマルチステップの作業を完了するエージェント AI |
| 最適な用途 | 素早い応答が必要な単一のタスク | 複数のアプリ/サービスにまたがる全体的な作業 |
| 応答速度 | 秒~分(対話的) | 数分~数時間(自律実行) |
| 作業の複雑さ | シングルステップ、シングルセッション | 複数の情報とタスクにまたがるマルチステップのワークフロー |
| 利用シーン | 素早い下書き作成、質問への回答、分析 | アプリやファイル、システム間をまたがるアクション |
| よく使われるシナリオ | ・日々のクイックキャッチアップ ・作業のステータス確認 ・質問と回答 ・コンテンツの下書き |
・受信トレイや予定表の整理 ・プロジェクトの立ち上げ一式 ・会議の準備一式 |
このように、Copilot と Cowork には、対話しながら個別作業を支援する『アシスタント』と、指示に基づいて一連の作業を自動実行する『エージェント』という違いがあります。
Copilot エージェントと Cowork
「エージェント」という言葉からすでに提供されている「Copilot エージェント」を想起される方もいらっしゃるかもしれません。
※ Copilot エージェントについては以下の記事を参照してください。
従来の Copilot エージェントは、特定のユースケースに対応するための AI アシスタントです。特定業務に必要な知識・データ・アプリケーションを Copilot に追加し、スキルとして利用します。つまり特定の作業領域に特化した AI アシスタントと言えます。
これに対して Cowork はより汎用的なエージェント AI です。組織の中で必要となる一般的なスキル(データの取得と分析・要約、文書の作成、会議や予定のスケジュール調整、指示に対するゴール管理など)があらかじめ組み込まれています。そのため特定のユースケースに限らず、幅広い業務に対応してさまざまな作業を実行することができます。
| Cowork | Copilotエージェント | |
|---|---|---|
| 最適な利用方法 | 複数のアプリ間を使い長時間かかる複数ステップの作業の実行を依頼する | 特殊な作業や繰り返し作業をカスタマイズしたエージェントに実行させる |
| どのように利用するか | 課題を与える: 目標を説明して作業させる。重要な節目で進捗状況を確認する |
ワークフローを実行する: 特定のユースケース用のエージェントを選択して実行する |
| 典型的な作業形態 | 指示を与えたら手放せます: Coworkはアプリ間で計画、ファイルとタスクの管理を行い、最終的に完成した作業を提供します |
必要に応じて実行: エージェントは毎回同じ範囲のタスクを処理します |
さらに Cowork 自体をカスタマイズして、既存のエージェントを呼び出しそのスキルを利用することも可能です。つまり Cowork は多くの Copilot エージェントの司令塔としてさまざまな作業の管理・監督を行う役割も果たすことができます。
Cowork を利用するには - ライセンス・料金・手続き
ライセンス
Copilot Cowork は Microsoft 365 Copilot に追加して利用するサービスです。そのため Microsoft 365 サブスクリプションと Copilot サブスクリプションが必要となります。
Copilot と Cowork には、ライセンス上の違いもあります。Copilot はユーザー ライセンスで定額制のサービスであるのに対して、Cowork はテナント単位で契約する従量課金制サービスです。
Microsoft 365 の従量課金制サービスでは支払いに Azure サブスクリプションを利用します。
そのため、以下が Cowork 利用の前提条件となります。
-
Microsoft 365 サブスクリプション(Business Standard、Business Premium、E3、E5 など)
-
Microsoft 365 Copilot ライセンスまたは Microsoft 365 Copilot Business ライセンス
-
支払方法が登録された Microsoft Azure サブスクリプション
(Microsoft 365 サブスクリプションと同じ Entra ID テナントである必要があります)
Azure サブスクリプションは事前にご準備ください。
Azure サブスクリプションの取得については当社担当営業までご相談ください。
料金
Cowork の料金の単位は「Copilot Credit」(クレジット)で、1 クレジット= $0.01(約1.6円)です。
Cowork のエージェントでタスクを実行する場合、そのタスクの内容によって消費されるクレジット量が決まります。
クレジット量は、主に次の4要素で決まります。
① 利用する AI モデル(GPT、Opus、Sonnet など)
② コンテキスト(タスクで使用するデータの取得、分析)
③ ツール(タスクを完了するための作業で使用するアプリなど)
④ ランタイム(タスクを完了まで進行させる管理機能)
上の図の例では「メール」や「会議メモ」などタスクの実行のために必要となるデータの取得と分析がコンテキスト、「プレゼン資料作成(PowerPoint)」と「メール(Outlook)」がツールになります。コンテキストとツールに応じてタスクの実行に最適な AI モデルが決定され※、ランタイムがタスクの実行を管理します。
※ 特定のモデルを手動で選択することもできます
Microsoft では Cowork の利用テストに参加したユーザーの使用状況の分析から、以下のようなタスクの種類に応じた標準的な推定クレジット数を算定しています。
軽量タスクは限られた知識源を使用して限られた推論を行い、1つの出力を生成するような作業です。中規模タスクは複数の情報源を利用し、構造化された推論を行い、2つ以上の出力を生成します。重量タスクは広範囲のデータを集約し、深い推論を適用し、より多くの成果を生み出します。このような作業の特性に応じて、クレジット使用量は変化します。
さらにこのようなタスクの区分と、利用するユーザーのペルソナ(特性)を組み合わせることで、組織のクレジット消費量を概算できるツール(Excel ワークブック)が提供されています。ユーザーのペルソナは以下の4つに分類されます。
「企業のナレッジワーカー」(一般的な職員)・「管理職・経営層」・「顧客対応のナレッジワーカー」(営業職など)・「技術系ワーカー」(IT 担当者・開発職など)がその分類です。
組織内のユーザーをこの4つのペルソナに分類してそれぞれの人数をワークブックに入力し、タスクあたりのクレジット消費量などを調整すると、全員が Copilot を活用した場合のクレジット消費量が概算できます。
クレジット概算用の Excel ワークブックは下記リンクからダウンロードできます。
組織全体の Copilot クレジットの消費量が推測可能である場合は、クレジットを割引料金で事前購入することもできます。購入したクレジットの有効期間は1年間で、最小の購入量は 3,000ドルです。詳細は以下を参照してください。
使用開始の手続き
Microsoft 365 テナントで Copilot Cowork の利用を開始するには、Microsoft 365 管理センターで以下の作業を行って「課金ポリシー」を登録します。
※ Microsoft 365 管理センターには Microsoft 365 の管理者権限と、Azure サブスクリプションの管理者権限の両方を持っているアカウントでサインインする必要があります。
1. Microsoft 365 管理センターで [Copilot] - [コスト管理] にアクセスします。
まだ 従量課金の構成をしていない場合、以下の画面になりますので、[始める] をクリックします。
2. [組織の既定の支出ポリシーを有効にする] が表示されます。
[従量課金制サブスクリプションを有効にする] 欄の [サブスクリプション] で、支払いに使用するサブスクリプションが選択されていることを確認します。
3. [毎月の月間支出に上限を設ける] を選択すると、テナント全体の支出に制限を設けることができます。
支出が上限に達すると、次の月初まで Cowork は利用できなくなります。
※Cowork の利用料金は事前予測が難しいので、予期せぬ高額請求を防ぐために上限を設定することをお勧めします。また上限は後で変更できます。
4. [ユーザーの月間使用制限を選択します] を有効にすると、1ユーザーあたりの使用量上限を設定できます。
特定のユーザーが使いすぎることをぐために設定することをお勧めします。
5. [アラートを定義する] を有効にすると、クレジットの消費割合または消費数に基づいて電子メールでアラートを送信できます。
6. [アクティブ化] をクリックすると、支出ポリシーが有効になります。
[セットアップ構成のカスタマイズ] をクリックすると、より詳細なポリシー構成が行えます。
※請求方法に登録したサブスクリプション以外の設定は、後から変更可能です。
7. 「使用量ベースの請求によって有効化された AI エクスペリエンスを、すべてのユーザーが利用できるようになりました」と表示されたら、従量課金制の設定は完了です。
8. [コスト管理] の [構成] タブに、作成した課金ポリシーが表示されます。
次に、Cowork が利用できるユーザーを構成します。既定ではすべてのユーザーが利用できるように構成されていますが、特定のユーザーやグループにのみ許可することもできます。
1. Microsoft 365 管理センターで [Copilot] - [コスト管理] にアクセスし、[エージェント] をクリックします。
2. [エージェントにアクセスできるユーザーを選択する] で [すべてのユーザー] が選択されていれば、組織内の全ユーザーが Cowork を利用できます。
Cowork を利用できるユーザーを限定する場合は [特定のユーザーまたはグループ] を選択してユーザーやグループを選択して、許可するユーザー/グループを指定してください。
3. 設定を変更した場合は、[保存] をクリックしてください。
ここまでの作業で、組織内の Microsoft 365 Copilot ライセンスのあるユーザーが、Copilot Cowork を利用できるようになります。
ユーザーが Copilot(Web なら https://copilot.cloud.microsoft/chat)にアクセスすると、以下のように Copilot と Cowork の切り替えスイッチが表示されます。
スイッチを Cowork に切り替えると、Cowork の画面になります。
※ Cowork に切り替えた時にタスクの入力欄が表示されず、[アクセスの要求] が表示される場合は、組織で Cowork を利用する設定が完了していないか、Cowork へのアクセスが認められていないかのいずれかです。
Cowork の利用 - 使いどころ・良いプロンプト・コスト管理
Cowork の使いどころ
「Copilot Cowork とは」のセクションでも説明していますが、Cowork は複数の作業を組み合わせて自動的に実行するタスクに向いています。Cowork を普通の Copilot と同じように使ってしまうと無駄な課金が発生するので、注意が必要です。
例えば、Copilot でもよく利用する使い方としてメールでのやりとりの要約があります。単にやりとりのスレッドを要約させるだけなら、Copilot の守備範囲です。
しかし
1. メールのスレッドを要約する
2. 要約した内容を元にエグゼクティブサマリーの形式で Word 文書を作成する
3. 作成した Word 文書を添付して、自分の上司に送付する
4. さらに Word 文書を特定の SharePoint サイトにアップロードする
というような一連の作業を一度にまとめて Copilot にやらせることは難しいでしょう。このような作業は Cowork の出番です。
Cowork で作業の対象となるデータを指定するには、タスクの入力欄の [+] をクリックします。上の例のように特定のメールを指定する場合は、[作業コンテンツを追加する] を選択してください。
作業の対象となるデータが指定できたら、Cowork に行わせるタスクをプロンプトとして入力します。
以下はプロンプトで指示している例です。一番上に「作業用コンテンツを追加する」で指定したメール メッセージが表示されています。これに対する作業内容を具体的に指示すれば、後は Cowork が自動的に実行してくれます。
※「私」や「私の上司」は Microsoft 365(Entra ID)に登録されている情報が自動的に利用されます。
他にもどのようなタスクが実行できるのか参考となるプロンプトの例が、以下の [表示数を増やす] をクリックすると表示されます。
また以下のページにも参考となるプロンプトが収録されています。
※収録されているプロンプトは英語の場合があります。英語は Copilot で翻訳させることができます。
良いプロンプトの作り方
Cowork は一括指示を自動実行するため、通常の Copilot 以上にプロンプトの質が結果を左右します。従量課金制なので「悪いプロンプト」はコストを上げる要因になります。
具体的には、Coworkの成果は依頼内容がどれだけ明確かによって大きく変わります。「カレンダーを整理してほしい」のような漠然とした依頼では解釈の余地が広く、Coworkは要望を推測して実行することになります。その結果、期待と異なる成果になる可能性があります。依頼時には、成功した状態を具体的に示しましょう。
以下は良い結果を得るためのガイドです。
1. 結果:完了後の状態を1文で示す。
2. 入力:使用する人物、ファイル、サイト、期間を指定する。
3. 完了の定義:メール送信、文書保存、会議登録など、求める成果物を明示する。
4. 制約事項:避けること、守ることを示す。例:顧客に連絡しない、1ページに収める、2027年度テンプレートを使う。
5. 承認範囲:標準の確認ポイント以外に、事前確認したい操作を示す。
コスト管理
管理者は Microsoft 365 管理センターの [Copilot] - [コスト管理] で、テナント全体のコストとユーザーごとの消費クレジットを確認できます。使い過ぎの把握にも役立ちます。
「使用開始の手続き」で設定した予算やアラートと併せて、適切なコスト管理を行うことができます。
またユーザー側でも自分が実行させたタスクがどの程度のクレジットを消費しているのか確認できます。
実行したタスクのプロンプト入力欄に「/cost」と入力して実行(Enter 押下)すると、このタスクで消費されたクレジット量が表示されます。
従量課金制のサービスなので、利用するユーザーも常にコストについては注意する必要があります。タスクを実行したら /cost を利用し、クレジット消費量を確認する習慣を付けると良いでしょう。
まとめ
Cowork は複雑な作業を自動実行できる非常に強力なエージェント AI です。Copilot のように対話的に指示を与えなくても良いので、日々の業務の作業効率をより高めることができます。
ただし従量課金制のサービスなので、ユーザーが適切な使い方をすることが重要です。そのため、ユーザーへの使い方の周知やトレーニング、管理者の予算設定やコスト監視といった運用を適切に行うことが必要となります。
こうした注意点を踏まえて Cowork を活用すれば、より生産性の高い働き方が可能になります。
Copilot Cowork の利用に必要な Microsoft 365 サブスクリプションと Microsoft 365 Copilot ライセンスの導入、Azure サブスクリプションの取得につきましては、当社担当営業までお問い合わせください。