
HPEとNVIDIAが共同開発した
セキュアで柔軟なプライベート型AI基盤
HPE Private Cloud AI
日本ヒューレット・パッカード
多くの企業がビジネスに生成AIを活用し、より価値の創出を目指す一方で、自社に最適なAIを導入するためには開発環境の構築に事案や専門知識が求められる。さらにビジネスに直結する重要なデータを扱うからこそ、そのデータは自社で保有したいと考える企業も少なくない。そうした企業の課題を解決できるのが、日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)が提供するプライベート型AIプラットフォーム「HPE Private Cloud AI」だ。
AI開発に最適なプラットフォーム
AIの普及に合わせて、ユーザーはAI を利活用する「Enterprise AI」と、AIモデル自体を開発する「AI Model Builder」に二極化が進んでいる。データ分析から活用、運用に求められる全ての要素をカバーしている「HPE Private Cloud AI」は、前者のAIを本格的に使い倒したい企業に特化したプライベート型AIプラットフォームだ。
HPE Private Cloud AIは、米Hewlett Packard Enterpriseと米NVIDIAが共同開発した。HPEが提供するサーバーやストレージ、NVIDIA製GPUなどから構成されたハードウェアと、AIプラットフォームエンジン「NVIDIA AI Enterprise」、データ準備、学習、可視化、運用支援を行うAI Studio・ライフサイクル管理の「HPE AI Essentials」といったソフトウェア、死活監視や性能監視・メトリック収集などを行う「HPE OpsRamp」などのツールで構成されている。中でも「AI Studio」は特に優れており、パブリッククラウドのように数クリックで生成AIアプリケーションやバーチャルアシスタントを構築することが可能だ。
HPE Private Cloud AI で提供されるNVIDIA NIM は、NVIDIA GPUに最適化された事前学習済みAIモデルをAPI化し、マイクロサービスとして提供する。これにより企業は生成AIアプリケーションやバーチャルアシスタントを迅速に構築・展開でき、従来比で最大5倍の実行速度を実現する。さらに、NeMoによって企業独自のAIモデルの開発・微調整が可能となり、AI-Q Blueprintを活用することで、業務に特化したAIエージェントの設計・導入も加速される。
データ分析・活用の流れから見るカバー領域

専門的な回答を高い精度で実現
HPE AI Essentialsは、企業がAIアプリの開発に必要となるデータ収集や蓄積・加工、学習支援・チューニング、カスタマイズといった、AIを本格利用するための一連のプロセスを効率化するAIライフサイクル管理ツールだ。従来より、データエンジニアやデータサイエンティストが数十種類ものオープンソースソフトウェアを駆使している部分であり、この仕組みはそのままに構築・運用・メンテナンス負担を大幅に低減してくれる。
HPE Private Cloud AIでは、パブリッククラウド向けに提供されているWebブラウザーベースの開発環境としてAI Studioのような機能も利用できる。コードの記述や実行、可視化が全てWebブラウザー上で直感的に行えることに加え、ローコード・ノーコードツールと連携できるため、非エンジニアでも使いやすく、現場主導でのAI活用に取り組みやすい。生成AIの開発や推論、推論+RAG、推論+RAG+ファインチューニングといった用途に応じたハードウェア構成もラインアップしているため、用途に応じたプライベート型AI基盤をHPE Private Cloud AIで構築可能だ。
特にLLM(大規模言語モデル)によるテキスト生成の活用が進む現在、企業は自社のビジネス領域に即した文脈で応答できるAIを求める傾向が強まっている。こうしたニーズに応えるためには、外部データの検索機能を組み合わせて回答精度を高める「RAG」(検索拡張生成)という技術の活用が重要だ。しかしRAGは、バックグラウンドの専門知識も含めた回答は行えないため回答精度が思ったほど上がらないという課題もある。それを解決する技術として注目されているのが「ファインチューニング」(微調整)だ。特定の目的に合わせてAIモデルを再学習させることで、専門性の高い領域でも精度の高い応答を可能にする。こうした高精度なAIを構築するための基盤として、HPE Private Cloud AIは多様な選択肢を提供しており、企業のニーズに応じた柔軟な環境を実現できる。
HPE Private Cloud AIの想定ユーザーは、「インフラ運用管理者」「AIプラットフォーム管理者」「AI開発者」の三種類に大別される。例えばインフラ運用管理者向けには、インフラリソースの管理やアップデートが管理しやすい機能を、HPE Private Cloud AIで提供する。AI開発者向けにはデータパイプライン・データ加工ツールなどの機能を提供するほか、RAG付きチャットボットを簡単にデプロイ可能な機能なども提供し、簡単に精度の高い生成AIの活用をスタートできる。
HPE Private Cloud AIの想定ユーザー

リソース管理やワンクリックアップデートなど、インフラ運用管理者向けの機能を提供。

データリソースの選択や機械学習パイプライン・分析処理ツールなど、AIプラットフォーム管理者向けの機能を提供。

データパイプライン・データ加工ツールなど、AI開発者向けの機能を提供。
AIに顧客情報を役立てる
HPE Private Cloud AIは、海外では公共機関、エネルギー、IT通信・セキュリティ、ヘルスケアなど、幅広い業種で導入が進んでいる。日本国内でも導入が進んでおり、国内でHPE Private Cloud AIを初めて導入したSCSKでは、同社のデータセンター内にあるAI共同検証センターの中核システムとして2025年7月から活用されているという。
また、ある国内企業では、パブリッククラウドでのAI活用においてコスト負担やセキュリティ面での懸念があったことから、HPE Private Cloud AIを導入。これにより、企業独自のノウハウや顧客情報といった機微なデータをAIに学習させ、パーソナライズされたチャットボットの開発や、顧客情報を活用したAI-OCRサービスの構築に成功している。
今後は、部門やグループ会社間で利用可能な「マルチテナント」機能の提供や、インターネットから完全に隔離された「Air-Gapped」環境への対応など、継続的なアップデートを予定している。
HPEは、エンタープライズ企業に求められるAI活用基盤の構築に向けて、NVIDIAと共同で開発を進める「NVIDIA AI Computing by HPE」の取り組みを推進していく。