
クラウドとオンプレミスを組み合わせた
高パフォーマンスのAI開発向けストレージ
AI-Hybrid Backup ソリューション
エレコム/QNAP
生成AIが急速に発展したことで、企業はこれまで手作業で行ってきた業務の自動化を実現している。その一方で、それらを実現するAIアプリケーションを開発するためには、AIモデルのトレーニングと展開をサポートする、信頼性が高いストレージアーキテクチャが必要だ。QNAPはそうしたAIモデルをトレーニングするAIストレージとして、同社のNAS製品とクラウド、AIを組み合わせた「AI-Hybrid Backupソリューション」を提案している。
RAGのために必要なインフラとは
QNAPが提案するAI-Hybrid Backupソリューションは、企業のオンプレミスAI開発をサポートしてくれる。本ソリューションはQNAPが提供するNAS「TS-h1290FX」とAI、そしてWasabi Technologiesが提供するクラウドストレージ「Wasabi」で構成される。これらを連携させることで、コスト効率やセキュリティ、パフォーマンスに優れたAI開発基盤を実現できる。
本ソリューションが求められる背景には、生成AIの回答精度を高めるため「RAG」(検索拡張生成)が注目されていることが挙げられる。RAGを活用した回答や生成を行うためには、大規模なデータベースから必要な情報を取得する必要があるが、その品質が低かったり誤りがあったりすると、生成されたコンテンツの信頼性が損なわれる可能性がある。データの管理とストレージは、RAGについての説明フレームワークにおいて非常に重要な役割を持っているのだ。
TS-h1290FXは高い拡張性とデータ転送効率に優れているため、ペタバイトレベルのストレージ容量が求められるAIストレージに適している。また「スナップショット」機能によって、ランサムウェアに対しても堅牢にデータを保護できる。
本製品は、全ての記憶媒体がSSDで構成されたオールフラッシュNASであり、高いパフォーマンスと低遅延によって、データを迅速に取得・処理できる。さらに、25/100GbEの高速ネットワーキングにも対応しており、大容量データの高速転送が可能なため、大規模なデータの読み書きを行うRAGアーキテクチャにも適している。
生成AIとQNAPを使用した
クラウド連携ストレージシステム

AIが必要なデータを自動識別
TS-h1290FX にはNAS 向けのAI 搭載サーチエンジン「Qsirch」が搭載されている。Qsirch によって、データセット内の重複データ、不完全データなどを識別して削除し、データの品質を向上できる。これによってRAGモデルのトレーニングや使用に適したデータ管理環境を実現する。データの検索も自然言語で行える「AI搭載セマンティック検索」を搭載しており、従来の検索方法よりも高い精度で検索結果を絞り込めるのだ。また現在はベータ版だが「RAG検索」機能も搭載し、コンテキストとユーザーの意図を理解した関連性の高い結果を提供することや、データの要約、比較表などの洞察の生成も実現してくれる。そのほか、画像内のテキストを検出して検索できるAIーOCRも搭載しているため、パスポートや運転免許証などの画像からの検索や、手書きの文字の検索なども行える。
WasabiとTS-h1290FXを連携させることで、より効率的なデータ運用も可能だ。データの使用頻度などの識別が可能なQsirchを活用すれば、よく使用するデータでかつ秘匿性の低いデータはWasabiへ、使用頻度が少なかったり、秘匿性が高かったりするデータはTS-h1290FXにそれぞれバックアップが行える。効率的なストレージ運用を業務負担を少なくした状態で行えるのが強みだ。